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第83話 恋人が頑張っている姿を見るのが、つらい

last update publish date: 2026-10-25 21:23:43

第83話 恋人が頑張っている姿を見るのが、つらい

 大会まで四日となった午後、フェチ研の相談箱に一枚のカードが入っていた。

 最初に読んだのは澪先輩だった。いつものようにカードを種類ごとに分けていた手が途中で止まり、少し考えてから神崎先輩へ渡す。

「これ、短く返すより話したほうがいいかも」

「どれ?」

 神崎先輩が受け取り、俺と陽菜にも見えるよう机の中央へ置いた。

 相談そのものは長くない。

『恋人が資格試験の勉強をしています。本人がやりたいと言って始めたことなので応援したいのですが、最近は寝不足で食事も適当になり、会ってもずっと疲れています。頑張っている姿を見るほど「もうやめればいいのに」と思ってしまいます。でもそれを言ったら、相手の努力を否定することになる気がします。好きな人が頑張っているなら、黙って応援するべきでしょうか。』

 読み終わって、最初に頭へ浮かんだのは陽菜だった。


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    第83話 恋人が頑張っている姿を見るのが、つらい 大会まで四日となった午後、フェチ研の相談箱に一枚のカードが入っていた。 最初に読んだのは澪先輩だった。いつものようにカードを種類ごとに分けていた手が途中で止まり、少し考えてから神崎先輩へ渡す。「これ、短く返すより話したほうがいいかも」「どれ?」 神崎先輩が受け取り、俺と陽菜にも見えるよう机の中央へ置いた。 相談そのものは長くない。『恋人が資格試験の勉強をしています。本人がやりたいと言って始めたことなので応援したいのですが、最近は寝不足で食事も適当になり、会ってもずっと疲れています。頑張っている姿を見るほど「もうやめればいいのに」と思ってしまいます。でもそれを言ったら、相手の努力を否定することになる気がします。好きな人が頑張っているなら、黙って応援するべきでしょうか。』 読み終わって、最初に頭へ浮かんだのは陽菜だった。 隣を見る。 陽菜もこちらを見ていた。「今、私思い出したでしょ」「うん」「即答」「隠しても意味ない」「まあ私も、自分のことみたいだと思ったけど」 陽菜はカードをもう一度読む。「でもこれ、かなり分かるかも」「止められる側として?」「両方。もし悠真が何かのために毎日寝ないで頑張ってたら、私たぶん最初は応援する。でも顔色悪くなってきたら、普通にやめてって言うと思う」「俺がやりたいって言ってても?」「言う。だって倒れたら嫌だもん」 神崎先輩が椅子へ深く座り直した。「そこなんだよね。相手が頑張ってると、応援することが善で、止めることが悪みたいになりやすい。でも実際はそんなに単純じゃない」「じゃあ、この人は言っていいんですか」

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